桃色☆クローバー
茫然としているアタシの目蓋をそっと下ろさせて目を瞑らされた。


アタシの顔から頭へと回される聖の手。


頭をグッと引き寄せられて密着度が増し舌が強引にアタシのなかに入ってきた。


「ンン……ゃっ……」


「ちゃんと呼べ」


「フ…ン……」


呼べと催促するくせにアタシに口を開かせない。

声を出したいけど塞がれてどうにもならない。



「ん…」


口のなかを舌が意地悪く動き回る。


だんだん息苦しくなるけど聖は一行にやめてくれない。


「ン……ひ……じり…」


やっと名前が言えた。


「あと四回」


「えっ」


ちょっとあと四回?!


肩で息をするアタシは酸素を取り込むのに必死で喋れない。

それをわかっているのかまた唇が近づいてくる。


「ちょっ、まっ、て…」


やっとの思いで言葉を発すると聖はピタリととまった。

でも聖の顔が近くてアタシは顔が熱くなってしまった。

「なに」


「えっ…と」


呼吸もだいぶ落ち着いてくると今度はドキドキで胸が苦しくなって顔がどんどん赤くなりそんな自分が恥ずかしくなって下を向いた。


「えっと…なんで?なんでこんなことするの?」


顔を見られないように気にしながら聞いてみた。


「なんでってお仕置きだし」


「っ!お仕置きって…だからってなんでキ、スなの?」


「あ?」


あ、じゃなくて…

なんで…キスすんのよ……

意味わかんない。

理解できないよ。


「なぁ、信吾って誰?」


「え?」


「お前顔真っ赤」


あっ!

急に信吾の名前が出たからびっくりして顔を上げてしまったアタシはかなり真っ赤になっているだろう顔を見られてしまった。

恥ずかしい……


「なに照れてんの?」

「照れてないっ!」

「ふ〜ん。」


またアタシからかわれてる…

「で?」

「へ?」

「信吾」

「信吾?信吾がなに?」

「だから誰?」

え…だれって言われても…

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