桃色☆クローバー
「彼氏とか?」

…………

あー、

聖、顔真っ赤だよ?

どうしたの?

「おい、聞いてんのかよ」

「え、あ、あぁ、パパ!信吾はアタシのパパだよ!」

「は?」

「ん?」

ビックリ顔の聖。

「どしたの?」

「あ?いや…別に」



変なの。


「ね、なんで学校にこんなとこがあるの?」

「あー?」

あれ?なんか怒ってます?

「…」

「ここ前は休憩室として使われてたんだよ。でも不便だろ?だから校舎を建て直すついでに近い一階に作り直したんだよ。」

「ふ〜ん。でもテレビとかあるけど…」

「通うのだるいから占領。」

「?…勝手に使ってばれないの?」

「ちゃんと親父の許可もらってるし」



意味がわかんなくて眉を歪ませると聖ははぁ、とだるそうにため息を吐いた。

「お前、ここの理事長の名前知らねえの?」

理事長さん?

「知らない」

それがなにか?

「葉澤健一郎」

はさわ?

聖と同じ?

「にぶいな、お前」

……

「親父なんだよ、俺の。」

…え?

「…ええぇええ!??」

えっ、はっ?うそ!すごい!!

じゃぁじゃぁそれって――え!?

なになに聖ってすごい人だったの?

「すごぉい!お金持ちだぁ!」

「…」

「すごいねっびっくり!すごい〜!」

「お前うっさい!」

「ンッ…」

んん〜!

ちょっと乱暴なキス。

アタシの気持ちを無視して強引に奪われた唇。

何度も何度も…

聖の動きが激しくなっていく程アタシも抵抗するけれど有無を言わせない強引なキス。

エスカレートしていく行為にアタシは恐怖を覚えた。

男の人と二人きり

こんな人気のないところで

怖いと思った。

やっぱり力には適わないから。

だから精一杯聖の胸を叩いて押し返すけどアタシの腕なんて簡単に捉われてしまう。

嫌だ

嫌だよ…

本当にそう思った。

こんな無理矢理キスしないで。

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