桃色☆クローバー

けれどあたしが離れたぶん一歩歩を進めてあたしとの距離をあっさりと元に戻してしまった聖。


それに加えて先程までより力を加えてあたしの肩を強く引いた。


あたしは当然前のめりになって聖に近くなる。


目の前には聖の瞳があって、その瞳に写る自分が大きさを増し、緑色した瞳はあたしでいっぱいになった。


鼓動が早さを増して頭に響いてくる。


こんなに近くにいたら聖に聞こえちゃいそうで、その鋭い瞳にあたしの心全部見透かされちゃいそうで怖くなった。


離れることを許さないとでも言うようなその強い眼差しのまますっとあいてる方の手を動かして、そしてそっと静かにあたしの頬に触れた…


あたしがビクッと反射すると聖は一瞬だけ顔をしかめた。


一秒の半分くらい戸惑いを見せた後、頬に触れている親指を動かすとあたしの目の下を優しく拭うような仕草をした。


思いもよらない聖の行動に驚きつつ、鼓動が一気に高まった。