ツラの皮
足元から熱がカーッと上がってきて顔どころか一気に全身が火達磨になった。
「うそっ!私、高遠のこと好きなの!?」
叫び声を放って美女に答えを請うと、飛びつかれた美女はあからさまに怯えた。
「し、知らないわよっ、そんなこと!」
知らないって、そんな今更、無責任じゃないっ。
どうにもこうにも返答をしない美女を切り捨て、私はバックを掴んで立ち上がった。
「ち、ちょっと、どこ行く気なのよ!これじゃ、まるで私がイジメて追い返したみたいじゃ―――」
だって、どんな顔して会えっていうのよ!
振り返った私がどれほど無様な赤ら顔をしていたか知らないが、顔を引きつらせた美女は掴んでいた手を緩ませ、私はその隙を突いて逃走した。