ツラの皮




高遠を知らない母のためにこれでもかというほど高遠の悪いところを捲くし立てた。



第三者の冷静な判断で「そんな男は止めときなさい」と沸騰した頭に水をぶちかけて欲しかったんだと思う。







母は初めて聞く男の名前に首を傾げたところから、私の言葉が尽きるまで静かに傍聴し、ついに口を開いた。


一言。









「甘いわね。」





は?甘い?






ソファーの背にしがみ付いて母の言葉を待つ私に、母は傲然と言い放った。




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