ツラの皮
母がもっと生活能力に劣って、愛が全てと言い切るようなオンナなら、そんなロクデナシにも未だにしがみ付き貧乏ながらに幸せよ、とのたまったかもしれない。
だけど、母は穂積クンに付き合って不安定などん底生活に慣れることを良しとはしなかった。
穂積クンも母も『普通の夫婦』の枠に収まりきらなかっただけ。
互いに自分の生活スタイルを折れなかったのだ。
ロクデナシと豪語しながらも、そんなロクデナシを未だに好きだという母に脱帽だ。
好きなものは好き。
理屈じゃないの。
色々と割り切れないところがあって付き合う事が適わなくても、その気持ちまで一緒に切り捨てたりしない。
でもね、
一緒にいたいなら、話し合いでも、殴り合いでも、トコトンぶつかって妥協点を見つけあいなさい。
母の言葉はジワジワと私の胸に効いてきた。