ツラの皮




私、高遠がどんな奴だろうと


高遠が私をどう思ってようと





好き。



まずはそれでいいんだよね?










私に荷物を手渡し部屋へ向かう母の背中にかねてから思っていたことをついでに聞いてみた。





「お母さんって、穂積クンの何が好きなの?」





母は肩越しに一瞥をくれどうでもよさげに答えた。






「姿を消してから通帳が届いたの。まだ腹の中にいる子供の、勝手に『鈴』って付けられた通帳。最初は菓子しか買えないような額だけど、毎月。未だにね。私には挨拶の一つもよこさないくせにね。」







鈴が結婚するときにでも渡すわ、とそっけなく言って母はリビングから出て行った。




私は。









ロクデナシの父親に初めて泣かされた。


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