ツラの皮
清水高遠的な


side高遠








室内の撮影が主だった一日の仕事をほぼ終え、俺は書類を持って麻生の下を訪れた。






「おい。明日の撮影のスカーフ赤じゃなくて朱だとよ。用意しとけって我侭オッサンからの伝言だ。」



「赤じゃなくて朱、ねぇ・・・」








堆く積まれた衣装の中から現れた麻生が、テーブルに滑らせた書類を見て苦笑する。


書類なんてのもおこがましく、コピーの裏面にカラー標本の代わりに飴だかガムだかの包み紙を貼り付け、こんなカンジ、と汚い字でなにやら文句が書き付けてある。





大体、衣装や小道具はクライアントと絵コンテで決定していて、カメラマンの我侭で勝手に変更すんじゃねぇっての。



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