ツラの皮
頭に来たが、堪えて平静を取り戻す。
このバカ相手に遠回しすぎた俺が悪いのだ。
「指輪欲しくねーか?」
コレで通じなかったらどーすっかな、と些か不安を覚えていると、思いもかけず鈴は飢餓状態のピラニアよろしく食らいついてきた。
「うっそ!くれるの?欲しい!あのネ、前から欲しいのがあったのよ。でもねいつも買おうとする度にとんだ邪魔が入って。今日勝ったら絶対買うって決めてたんだけど今日は調子上がんなくて諦めてて。そっかー!高遠今、勝ってるもんね。じゃ、私も協力するからそのまま勝ち逃げするよっ!」
一応通じたらしいが……………違う。
チガウだろ、絶対!
重要なのは『俺が指輪を贈る』ってことであって、間違っても『アブク銭の使い道について』じゃねぇんだよっ!!