ツラの皮
容姿を誉める言葉は散々聞き飽きているのに、この時ばかりは本気で照れた。
これが下心もなく、純粋な感想なのだと分かったからだ。
『何だ。誘ってんのか?』
照れ隠しにわざとそんな冗談を口にすると、女ははあ!?といわんばかりに飛び上がり、続いて周囲を見回し青くなった、
と思ったら赤くなった。
はあ!?何なのこのナルシスト。
って、何で電車?
……まさか、私ねこけてこの男に肩借りた!?
苦もなくアテレコが出来るほど顔に思考が出捲くっている。