ツラの皮
それで成り行き上、借金取りに会うことになり、
そこで何故か仕事関係者のタチバナに出くわし、
タチバナがこのトンでも娘の親だと知らされ、
借金がヤツ主催の恒例マージャンの所為とも分かり
…………バカ女がっ。
人事とはいえそんな下らない事で心配し、振り回されたコッチの身にもなれ。
出会いが出会いだった所為か、根本的に性に合わないのか、俺に全く媚びない女。
そのくせ単純バカで直ぐに懐いた怖いもの知らず。
騙される心配より、コイツが騙されやしないかと余計な心配すらしたくなるくらいのあけっぴろげ思考。
麻生に言わせればこの時すでに嵌っていたのだというけれど、自覚したのはあの夜だ。
『結婚・・・するかもしれない』
ちっせぇ脳みそには許容オーバーの問題だといわんばかりに、親に打ち明けられた衝撃の告白。
『好き……だけど、そんなこと考えたこともなくて………驚いた。』
後頭部を鈍器で殴られたぐらいに、息が詰まった。