ツラの皮
『高遠といるのはキライじゃない。言いたいこと言い合えるから、傷付けた?とか、怒らせた?とか一々不安になったり顔色伺ったりしなくていいもん。』
意識して喋ってるのか、思考が無意識に出ているのか……
そう言ってらしくなく悲しげな表情を過ぎらせたのを見て、俺の中で何かが切れた。
一々顔色伺って不安になるような相手と何で結婚するんだ!
俺といるのが楽なくせに、何で相手は俺じゃなくて別の奴だ!
無意識に自分の胸の内に迸った罵声が俺を覚醒させた。
簡単な事だ。
俺はコイツを誰かに渡したくない。