ツラの皮
体面を取り繕う女を唾棄していた俺が、アイツの前で『イイ男』を取り繕う。
確かに俺は根性悪で自己中で、
理解ある顔で競馬につきあったりしている最中にも
『家でいちゃつきながらダラダラ過ごしたい』
などと考えなかったわけではないが……。
余裕のある大人の顔でスマートにデートコースをエスコート。
そう意識して取り繕うのではなく、嫌われたくなくて、気にいられようとして、気がつけば無意識に『良い奴』に成り下がっていて。
こんなキャラじゃない・・・と自覚する度に少々不快になる。
明らかにセールストークだと分かる代物にも関わらず「私に気がある」と勘違い甚だしい女も少なくないのに、アイツに限っては俺にそこまでさせてもまだ俺を恋愛対象に入れない。
受け入れるか拒否するか以前に、俺の気持ちに全く気付かないあたりが致命的だ。
ったく、何故だ。
我ながら無様だが、かなりあからさまに媚びてんだろーが!