ツラの皮
行きますよ!といって強引に鈴の腕を取る。
「ちょ、行かないってば。だって、えと………そう、私、熱があるの!そりゃもう高熱で、体調悪いのよ!…こう見えても。」
嘘を吐くならもう少し上手く吐け。
コウハイもまるで信じた様子はなくハイハイと軽くいなして歩き出す。
小柄な鈴は体育会系に腕を抱えられ半ば宙に浮いたようなカンジで引き摺られて行く。
って、そんなこと俺が許すと思うか!?
足音荒く二人に近づいた俺は、問答無用で鈴を奪い取った。
「きゃ、え!?………た、高遠!?」
己を抱きすくめる人物を仰ぎ見て、鈴が小さな絶叫を迸らせる。
唐突に腕から消えた鈴に驚いた男が俺を見てむっと顔を顰めた。