ツラの皮
「送ってく。」
似非良い人を発揮して紳士に申し出ると、鈴はあからさまに顔を引きつらせて辞退した。
が、聞き捨てる。
「途中でぶっ倒れでもしたら、ここで見放した俺がキブン悪くなんだろーが。」
体調不良なのは仕方ないとして、せっかくここまで来てこのまま別れたんじゃ仕事を早めに切り上げた価値がない。
いつまでもゴネている鈴を無視して、体調不良なのを建前に体を引き寄せ歩き出した。
ああ。
紳士ツラしてみたトコロで中身は突然変わらない。