ツラの皮



頭にきて部屋から叩き出しているところを運悪くもドンちゃん騒ぎから帰ってきたスタッフの一部に見られた。


俺から誘っただの、なんだのと女は言い募っていたが、俺が仕事の関係者……少なくとも一緒に仕事をしている間は絶対手を出さないのは誰もが知っている。



居た堪れないのは分かるが次の日その女子スタッフは挨拶もなく姿を消していて、不可抗力とはいえ雑務要員を減らした俺はスタッフから事ある毎に罵られている。




って、俺の所為じゃないだろうがっ。









クスクスという笑い声に、顔を上げる。



木陰に雪乃がいて、俺と目が合うと笑いを止め悪戯を咎められた少女のように面映い微苦笑で肩を竦めた。




「ゴメン、ね。……相変わらずだなっと思って。」






スタッフも早々に仕事を切り上げ人数を減らし、残っている者は用意にてんてこ舞いしている。




「何が相変わらずだ。」




支度を再開しながらお座成りに尋ねた。





単なる場繋ぎの質問に答えはなく胡乱げに視線を上げると、雪乃は悲しげに視線を落とした。






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