ツラの皮
ファイブ
金曜日。
黄昏から薄暮に変わる最中の撮影を終えて、室内のリテイクも無事終了してその日の撮影を終えた。
十時台に終るなんて奇跡じゃねーか。
誰もがウキウキとして、片付けと撤収作業に奮起していると
「ザーす」
ホストにしてはまるでやる気を感じない挨拶が入口の方から聞こえてきた。
屋敷を出入りしている顔見知りのスタッフに一応一々挨拶をしながら、その声は監督のいる奥へと近づいてくる。
メイクチーフとして監督の近くで仕事をしている俺はその声の到来を待ちわび、
(ホラな)
と含み笑った。