ツラの皮
密かに下僕を哀れんでいると、いきなり腕を引き上げられた。
「王様、4番お持ち帰り。」
一瞬遅れて、オンナノコの不満の絶叫と、男の子の冷やかしが爆発錯綜した。
ひえ?
「ちょ、な、な、何っ、ちょっと!」
思い掛けないアクシデントに私は目を白黒させながら、有無を言わさぬ力に引きずられるようにして会場から連れ出された。
「なんでよもー!絶対誤解されたし!」
建物の外へ出て、ようやく腕を放した高遠に盛大に文句をぶつける。
「帰りたかったんだろーが。何か用事があんだろ、オマエ」
「え?」
何でそれを知ってるの?
私は慌てて口を押さえた。
また私はいつの間にか思考を口走っていたのかも。