ツラの皮



目で脅してみたが、あからさまに顔を逸らせてかわされ、どうにもならない事態に切歯扼腕する。


ぶほっと野口さんが豊かな鼻髭を揺らして噴出した。





「いや、済まない。君もそういう可愛い顔をするんだなと思ったらつい。」




ぐぅ・・・っ!


指摘に制御のしようもなく熱を帯びる顔を覆う。



こ・・・この歳で今更カワイイとか、すっげー恥ずかしい。



「や、青春青春。取り澄ました顔より実に若々しくてヨロシイ。」



笹山さんがビミョウな空気を取り繕うように呵呵大笑したが、俺にとっちゃダメだし以外のなんでもない。



青春なんていう小っ恥ずかしい単語まで繰り出して、体温が振り切れそうだ。



つか、この人達、仕事モードの冷静ぶった俺しか知らないもんだから、オモチャにしてるだろ、絶対!




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