ツラの皮




「タカトーって意外とウブなのね。」




尾瀬監督の後ろで麻生相手にオセロに興じていたミレイに訳知り顔で突っ込まれて、みんなが堪らずといったように噴出し、俺は奥歯をガチガチ掻き鳴らした。


抱腹絶倒中の麻生がすかさず間に入る。




「あーはは。はいはい。高遠の負け。みなさんもそれ以上高遠を苛めないでやってくださいよ。ホラ、今夜は一先ず引き下がるよ。」



唸りつつも、これ以上ここに居ても遊ばれるだけなのは分かりきっていたので、麻生に従って大人しく引き上げることにした。








「覚えとけよ、てめぇ。」



去り際に鈴を睨むと、鈴は赤い顔で気丈に睨み返してきた。




「ふ、ふんっ。私は逃げも隠れもしないわよーだ。」





言ったなコノヤロウ。


マジで次に会うまで覚えとけよ。


今度は何があっても逃がさねーぞ。






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