ツラの皮
既に次に会う段取りを考えつつ踵を返すと「あ」という声がして鈴が思わずと言った感じで腰を浮かした。
何か訴えかけるような表情が俺と目が会うなり伏せ目勝ちになって「えと…」と口籠る。
…………………期待するぞ。
にわかに忙しなくなった鼓動を持て余しつつ次の言葉を待っていると
「鍵返せってよ。部屋入れネェじゃん。」
咥え煙草のタチバナにへっと鼻で笑われ、周囲からはどっと笑いが沸き起こり、全身の血が沸騰。
「思わせぶりな顔すんじゃねーや!バカ女っ!」
「だ、誰がっ!そんな顔してないもん!」
叫ぶ鈴に鍵を投げつけ、俺は足音荒くその場から逃げ去った。