ツラの皮
「ま、俺もコンパに賭けるほど寂しい人生じゃねぇし?出るタイミング図ってたから丁度良かった。」
それは事実で、一々余計なんだけど、気遣われたのはなんとなく分かった。
コイツってひょっとして思ってたよりワルイヤツじゃないのかも。
「えと……ありがと。」
ペコンと頭を下げて、どうでもよさげに「早く行けば?」と顎をしゃくる高遠の前から立ち去ろうとして、携帯が再び魔の着信音を奏でた。
「もしもし?今、抜け出せたから。すぐ行くから――――えっ!?」
言い訳をまくし立てていた私は電話からの無謀な指令に素っ頓狂な声を上げた。
「何言ってんのよ!?無理に決まってるでしょ!?だってもう会場出ちゃったし!
っていうか、そうじゃなくてもそんなところに連れて行けるような人に当てなんかないわよ!!」
殆ど悲鳴のように言い募ってみるが、こちらの言い分を聞き入れるような相手ではなく。
一方的な命令だけを下して電話は無情に切られた。