ツラの皮
セブン
次の日。
「アッレー?高遠なんかすこぶる不機嫌だね。」
撮影の合間にやってきた麻生に笑われ、俺は冷血の名に相応しい顔で睨んだ。
尤も付き合いが長い上に、俺に嫌われても痛くも痒くもない麻生は悪びれもせずヘラヘラ笑っている。
というか、大笑いしたいのを堪えているだけ譲歩しているつもりか。
「いや、さすが鈴ちゃん!あれほどの据え膳を用意しておきながら自ら星一徹クラッシュ!って中々アリエナイよねー。」
「ウッセェッ黙れっ!」
自分の言葉で笑い袋の緒を切りトチ狂ったように笑い出した麻生にキバを向いて吠えた。
あーくそっ!ムカツク!
周囲に公言し、尚且つ部屋であれほど盛り上がって、よもや逃がすこともないだろうという状況にも拘らず、看病に明け暮れ手も出せなかった。
麻生は俺の態度から状況を察したらしいが。
ともかく、欲求不満は追い追いにするとしてもだ。