ツラの皮
俺だって仕事が忙しい時に『仕事と私とどっちが大事なの』と迫られるのは鬱陶しい。
現実、過去に遊んでいる女から糾弾され、見事に切り捨てた。
別にどっちが大事とかウェイトの問題じゃないのは分かってる。
大人になれば仕事に責任はあって、プライベートを優先デキナイ事態にもなる。
現に俺だって今、撮影の都合で土日は潰れてて、鈴と会う為だけに強行に休みを取るわけじゃねぇし…。
分かっていて、それでも会いたいと思うのは
コレが恋ってもんだからだろうか。
麻生が素知らぬ顔で隣のタチバナにひょいっと水を向ける。
「タチバナさぁ~ん、高遠のオーラが日々着実に重くなっていくんですよ。なんとかしてくださぁーい。」
「おう。任せろ。」
煙草を加えた口をいぎたなく歪めたタチバナは俺ン天棒をガシッと掴んで行った。