ツラの皮
スリー
「ここかよ。」
暫く歩いた末に辿り着いたのは何の変哲もないマンションの一室。
マンションはそこそこ大きいが、古いので豪華とも高級とも言いがたい。
怪訝な顔をしている高遠を他所に私は小さく深呼吸した後、覚悟を決めてインターフォンを押した。
しゃがれた男の声で「おー」と気のない返事が返されて程なくして扉が開いた。
ヨレヨレのシャツをだらしなく羽織った無精髭の男。
口には咥え煙草で、少々不健康にヤツレかけた顔に目の下のクマ。
ワイルドとは聞こえが良いが、落ちぶれたチンピラという表現も遠からず。