ツラの皮
……結城か。結城。
麻雀打てるのか知らないけど……イイ鴨にされそうな。
残業後に付き合わせるのもどうかと思うけど、その挙句に大枚巻き上げられたら顔向けできない。
底抜けに無邪気な結城の顔を見詰めてぼんやりと思案していると、私達の脇を一人の男が「お疲れ」と言って通り過ぎた。
「碧樹部長っ!!!」
私は結城をそっちのけに部長に飛びついた。
以前、聞いた事がある。
新人歓迎会かなんかの席で、碧樹部長が麻雀出来るって話。
それだけじゃなくて。
仕事能力は神領域。
理路整然、アリゴリズムと言われる男。
以前いた開発部でもかなり優秀な人材で、将来は会社中枢の管理職として当然のように名があがっている。
能力を買われて部長という役職に付いているけれど、これでも私より三つ程年上なだけ。
そんな男が『デキル』といえば、当然強いに決まってる。
ただそれだけで後先考えず飛びついちゃったけど、私ってば無謀だったーっ!!!