ツラの皮




フレームなしの眼鏡の奥底の冷たく尖った目に見下ろされて、私は凍りついた。



真竹碧樹部長。

基本雑な性格の私は、彼に非常なまでに毛嫌いされている。…気がする。




「何か用か、小早川。」


「あ……いえ……その……」





今更ながらに彼に声を掛けた自分の無鉄砲に脱帽する。


今すぐ数分前に戻って人生をやり直したい。



でも……


どうせ連れてくなら、勝てる人を連れていきたいじゃない?

……と思う私は根っからのギャンブラーなんだろうか?






「……あ、あのっ、付き合って欲しいトコロがあるんです!!残業後でお疲れなのに申し訳ないんですけれども!!私一人では行けないトコロなので、助けてほしいんです。」



部長が穂積クン達をギャフンと言わせているトコロが頭を掠めて、腹を括った。


……って、私までぎゃふんと言わせられたらどーしよう


(部長って容赦なさそう)



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