ツラの皮
さすがに麻雀しに行きませんか?なんて言えなくて、適当なウソを必死に捲し立てた。
連れていきさえすればなんとかなる…ハズ。
………明日、部長のカミナリが落ちる事は覚悟する。
「小早川先輩っ、水臭いですよ。何かあるなら僕が―――」
「結城はアリガトウ。もういいから真っすぐお家に帰りなさい。お疲れ!!」
何故か、私以上に慌てた様子の結城を一蹴し、私は碧樹部長と一緒に歩き出した。
「どこへ行く?」
「あ…えっと。父のトコロなんですが……。」
「小早川のトコロは確かシングルマザーじゃなかったか。」
「よく……御存じですね。そうです。籍は入ってないんですが、実の父デス。」
「籍の入っていない父の元へ、か。ワケありか。」
「……ええ、まぁ……。」
道すがら部長と他愛無いやり取り。
あからさまに核心から逃れる私に、部長は先回りに何かを感じ取ってくれたらしく、あまり突っ込んでこなかった。