ツラの皮

文句を言う前にグイッと押されて




「俺等帰っから。」



ジャケット越しに高遠の声。


えっ!?ちょっと待ってよ。

私今来たところなんですけどっ。




「ふふ~ん。俺に貢いで正解だったろ?」




穂積クンの意味不明なセリフに高遠からケッと吐き捨てるような声が聞こえたけれど。


状況を把握する前に玄関へ追いやられた。




その時―――ジャケットを被っていたままの私が知る由もナイが。



擦れ違う高遠と碧樹部長の間でほんの僅かにチリッと冷たい火花が散った。



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