ツラの皮
「今日オマエ、泊り。決定。」
「は?はぁ!?…ちょっと待ってよ。今日平日でこんな時間で、明日も仕事で…」
「ヤかよ?」
私の言い訳を間髪入れず遮った声は。
少し掠れて色気を纏って―――
なのにどこか少し縋るようで。
ただでさえ普段から威力的な声は甘さを増していて、頬が熱に浮かされたように熱くなる。
嫌………なわけないじゃん。
だって、私は高遠がスキなのよ。
酔った勢いで付き合うだのなんだのって事になっちゃって、今一付き合っている実感なくて
……ちょっと不安はあるけれど。
でも、アンタの事が好きなんだから。
嬉しくないワケがナイ…。
力一杯応えるのは気恥かしくて、胸元に顔を押し付けて了承の意に小さく頷いた。