ツラの皮
「…まぁ、イイ。」
いつまで続くのかと思われた嫌味の代わりにぽんっと投げ渡された言葉に「へ?」とマヌケ面を上げた。
視界でふっと釣り上がった碧樹部長の片口端。
私は、人生でハジメテ見るような黒い笑みに驚けばイイのか。
それとも、鉄仮面・碧樹部長が笑った事に驚けばイイのか。
多分、両方に慄いた。
「コレで一つ貸しだ。」
か、貸しって……。
ごくっと喉を鳴らす。
「一体、私は……何をしたら良いんでしょう?」
「そうだな一先ず、今週末の金曜日の夜は付き合ってもらおう。」
「は!?いや、あの……付き合うって……」