ツラの皮




「で、何だってアンタはコイツを呼び出してんだ。碌でもねぇ奴だとは思ってたけど、こんなアホを脅して呼び出すなんざ落ちるとこまで落ちてやがるな。」




今更ネコをかぶっても仕方がないと開き直ったか、高遠は独自の毒舌で相手を糾弾しにかかった。




って、


碌でもないとか、アホとか、アンタ………。





「オマエ言いたい放題だが直ぐにその言葉、後悔するぜ。」



穂積クンは勝ち誇ったように無精髭の口元をいぎたなく歪めた。







「ジツの親が娘呼び出してなにが悪い。鈴の周りをウロチョロしてるだけのたかが小バエごときにとやかく言われる筋合いはねーよ。」




高遠が目を大きく開く。

まさに唖然。










「おやこ――――っっ!?」と素っ頓狂に叫ぶ声を背後に聞きながら、私は一足先に戦線離脱し部屋の中へ踏み込んだ。


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