ツラの皮




一杯飲んだビールのお陰で、口も大分軽くなっていた。




「トコロで部長はユリカさんとの結婚に何のご不満があったんでしょーかぁ?」




見た感じ良家のお嬢様というカンジでとてもステキな女性っぽかっただけに。疑問。


プライベートにズカズカ突っ込んだ興味本位な質問にも関わらず部長は意外にも律儀に応えてくれた。




「別に不満という不満は、無かったな。家柄もイイし、気心知れた相手だし。望まれるのであれば拒否するほどの理由もなかった。」


「え?……それじゃあ…」


「まぁ、ユリカは結婚相手に悪くないというだけで、互いに恋愛じゃあ無かったというコトだ。結婚したらしたでそれなりに平和にやっていけたとは思うがな…」



「……はぁ。」



そーいうもんなのかな。








部長は穂積クンとママとはまた真逆なタイプなんだろう。


自分のスタイルを折れず家庭が築けなかった二人。


家庭を維持するために妥協がデキル碧樹部長―――







「……いや。結局俺もオマエのオヤジさんと変わらないのかもな。」


「へ?」




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