ツラの皮
「また日を改めてちゃんと話するぞ。オマエに雪乃の事しっかり聞いておいてほしいし。」
「ん。でもあんま心配はしてないけどね。面白くはないケドッ!」
「てか、オマエにはあの男のコトきっちり説明してもらうからなっ!」
ぐはっ!
あの男ってのは十中八九部長のコトだよね。
まぁ、疾しいコトなんてしてないケド…
というか寧ろ、百パーセント愚痴になりそうな話しかないんだけど。
別れるトコロまで来て、足を止めた高遠がぐいっと私を引き寄せた。
キスは耳に。
「メイク…アリガトっ。」
プロにしてもらったメイクは流石違う!!
私より手際よく、しかも丁寧。
にやっと高遠が笑う。
「俺とのデートの時は、もっと色気のあるヤツにしてやる。」
「んな……っ」
含みのあるセリフに顔を赤らめる私。
高遠は悪戯小僧にみたいに笑って「じゃあな」と手を上げて走って行った。