ツラの皮



既に日の落ちた建物の外へ出た。




「碧樹!!!」



声がして、男が一人待ち構えていたように部長へ駆け寄ってきた。


男は間髪入れず碧樹部長の胸倉を掴んだ。




「オマエッ、ユリカとの結婚蹴ったって本当かよっ!!」



…ユリカ、さん。


ああ。部長の婚約者。もどき。


この男はどういった関係なんだろう。


いきり立つ男に部長は臆する様子もなく、飄然と言った。




「ああ。」


「ユリカのナニが不満だってんだ。」


「アイツに不満があったワケじゃない。ただ、俺にユリカ以上に好きな相手ができただけだ。」




コレだ、とでも言うように、私を顎で示す部長。


ちょっと!!!

巻き込まないでよ!!


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