ツラの皮


私を一瞥するだけして部長に顔を戻した男は怒鳴った。



「フザケンナーっ!こんなチンチクリンとユリカじゃ比べモンになんねーだろがっ!!」



………そりゃアンタ、

ちょっとどころか失礼じゃない?私に。


例えそれが事実だとしてもね。


内心むっとした、…だけのはずだけど、無意識に口に出ていたらしい。


男はちょっと狼狽した。



「や、あの…スマン。君に魅力がナイとか言うワケじゃないが…ユリカがそれ以上にステキな女性という意味で…。」



顔良し。

家柄良し。

性格良し。

うん。そりゃ確かに私なんかにゃ太刀打ちできない、結婚相手には持ってこいのオンナよね。



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