ツラの皮
セブン
≪Side 高遠≫
撮影の途中、
今日は先に別の仕事へ行っていた雪乃がマネージャと共に現れた。
顔も見たくネぇトコロだが、役者のメイクが俺の仕事なのでそうも言ってられない。
むっつりとしたまま雪乃を見て―――
違和感に眉を顰めた。
「あ。オハヨウ高遠。」
にぱっ
―――と、雪乃にしてはらしくないあけすけな笑顔に、違和感の正体をスグに知った。
なんのつもりだっ!!!
怒鳴りつけたいトコロだったが、準備の為に他のスタッフも寄ってきたため、無言のままメイクを施す。
監督に呼ばれて、打ち合わせをする雪乃を遠くから見詰めていると、いつの間にか俺の後ろに麻生がいた。
「あーらら。大女優さんの今度の演目は、“鈴ちゃん”か。」
てめぇ、確実に人事で楽しんでるだろ。