ツラの皮



「あ。実は僕的にも結構嫌いなタイプじゃないんだよね、彼。」




嘯く麻生に、俺はちょっとダケ驚いて視線を向けた。


基本フェミニストな麻生は誰に対しても愛相が良いが、コレで中々好き嫌いがはっきりしたヤツだ。


尤も麻生の場合、“ムカツクヤツ”=嫌いな存在ではなく、興味の湧く存在か否か、が判断基準な気もするが。






麻生が唇に指を当ててうーんと目線をあげる。




「どういうヤツって言ったら、そうだね。麻雀の打ち方見ても、基本、堅実なタイプかな。頭もキレるし、冷静に先が読めるタイプ。」


「その辺りはまぁ、シミズのほうが柔軟かもなぁ~」


「高遠は抑えるトコロは抑えて、張るべきで張れる男気もあるしね。」






ずっとゲームに勝ち続ける事が出来ればそれに越した事はないが、勝負事だ。


必ずアル“負け”をも考慮して大きく賭けたり控えたりという駆け引きも必要になる。





勝てる手で賭け控えても負ける。


金にだけ囚われて負けの手に注ぎ込んでも負ける。





勝つのに必要なのは冷静でいる事と同時に瞬時に熱くなれる無鉄砲さだ。





「―――だけど」



麻生とタチバナが示し合わせたように噴き出した。
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