ツラの皮
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「なんのつもりだ。」
撮影の途中。
控えで雪乃が一人で台本を読んでいるのを見計らって近づいていって、詰問した。
なにが?というように俺を見上げる雪乃に、イラッとする。
「いい加減にしろよ。オマエがアイツの真似したところで俺は絶対オマエを好きにならねーぞ。」
よもや間違えて手を出すこともない。
ただひたすら不愉快、だ。
俺の言いたい事にようやく合点が言ったというように雪乃は笑った。
「やだな。そんなんじゃないよ。」
「じゃなんだよ。オマエは何のつもりで…」
「う~ん。好きな相手の好みのタイプになりたいって思うのはフツーじゃないかな?例えば鈴さんが“俳優の誰誰の服装がセンスいいよね”って言ったら、高遠だってそういう洋服選んじゃったりしない?」
「んなこと……ねーなっ。」