ツラの皮



雪乃さんのコトだって、本音を言えば不満だけど。


だけど、高遠なら心変わりしないでいてくれるって、思ってるから…ちゃんと信じてるから、不安にならないように勤めてただけでしょっ!?




「アンタだって……っ、本当は雪乃さんに言い寄られて喜んでんじゃないの!?恋人だって噂されて、立場上って言うけど誤解解く気もなさそうだしね!!!!」



違う。


違うって分かってても―――煮上がった私は気が付いたらそう吐き捨てていた。



仕事だって納得していても、本音を言えば……


嫌だったんだ。



嫌だけど、私が不安にならないようにちゃんと話をしてくれた高遠にいつまでもネチネチ言って、重いって思われるのも嫌だった。





『っ…誰がいつ喜んだ!?アレを撤回デキねぇのは仕事上しかたねぇってのはちゃんと説明して、オマエだって分かってんだろ!!!』



「あーはいはいっ!!分かってマス分かってマス!!!仕方ない事だもんねーっ!!!」



仕方ない事だって分かってる


分かっていても、ムカツくんだから、








仕方ないじゃないっっ!!!


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