ツラの皮



つねられた頬を摩りながら、キッと部長を睨みつけて




―――固まった。



すっと腰を屈めた部長の口が私のそれに重なって。






「二度もして、まだ気付かないとか言うなよ?」




唇の上で踊ったセリフは、仕事中に聞く『二度とこんな初歩的なミスするなよ!』のセリフを思い出す。


いや……ちょっと、は?

これってどーいう………




上体を起こしてはぁと溜息を吐く部長。







「ここまでしてまだ分からないってンならハッキリ言ってやろうか。俺はオマエが好―――」


「ぅ・ぁわ゛わわわわわわわわ!!!!」








耳を塞いで絶叫で男の声を遮った。


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