ツラの皮



牌に手を伸ばしながら鈴が口を開いた。



「お見合いの席、ぶち壊しに付き合わされた時も『はぁ!?』とは思ったけど、仕方ないって思ったの。元は、私がここへ半分騙して連れてきた所為だからさ…。」



力なく言いながらオマエの所為だ、と言わんばかりにタチバナを睨むが、タチバナは素知らぬ顔で受け流している。




「それで話は終わったもんだと思ってたのに……こないだお母様に会って、話が勝手に進んでる事を知って、驚いた。」




そう言って鈴は頭を抱えた。


あの野郎、実は会社の御曹司らしく、結婚と言えども当人二人だけの問題に留まらず、その親戚やらシガラミのある周囲も巻き込んだ大掛かりな話になっている。


この話をぶち壊すにはどうすればいいか。


コッチも、ヤツが仕掛けてきた罠に匹敵するぐらいのモノを用意しなくてはならない。







…考えてないわけじゃねぇんだが。


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