ツラの皮




「曖昧なままにしてある雪乃との関係がデタラメだってのと、鈴の存在をマスコミにぶっちゃける―――」



俺がそう言えば、麻生がふっと笑った。



「二人とも一般人のくせにマスコミに、ねぇ。」



ああ。そうだ。


確かに二人とも一般人だが、『話題性』が全くないわけじゃない。


現に今俺は雪乃の恋人と推測されて、それ以上の明言もないもんだから、確たる証拠を掴もうというマスコミにそこはかとなくマークされてるしな。


グレーな現在良くも悪くも『話題』を提供すれば食いついてくるのは明白だ。


――――だが。





「それは却下だ。ついでにそれロン。」






タチバナが咥え煙草の口をいぎたなく吊り上げた。




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