ツラの皮
タチバナが咥え煙草の隙間から紫煙と共に放ったセリフに、鈴の顔が見るみるうちに強張って行く。
びしっ☆
「いてっ!!」
タチバナに牌を投げつけた鈴が立ちあがった。
怒りで赤く染まった顔でタチバナを睨みつけ、ワナワナと震える。
「親らしい事なんて一度もしてくれた事ないくせにっ。こう言う時ぐらい、ウソでも親面してくれたっていいじゃないっ!!ロクデナシッッ!!!」
罵声を叩きつけて、部屋を飛び出していく。
「あっ、おい…鈴!!」
とりあえず、自分の荷物と、鈴の荷物を掴んで、俺も立ち上がった。
「つか、アンタももうちょっと言葉選べよ。バカったれ!」
まるで堪えてない風に肩を竦めるタチバナを置いて、俺も外へ飛び出した。