ツラの皮
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「鈴!」
路上をとぼとぼ歩く鈴を見付けて、そんな声を掛けると同時に腕を掴んだ。
ビクリと肩を跳ねて振り向いた鈴は俺を見て、ぐしゃっと顔を歪めた。
その頬には既に堪え切れなかった涙が筋を作っていて……
「―――ファザコンが。」
思わず本音が漏れた。
「はぁ!?だって、アンタだってさっきの聞いたでしょ!?穂積クンって、ひ、酷くない?」
娘に賭けマージャンさせるわ
脱衣麻雀させるわ
親らしいコトなんて何一つしてくれなくて……
そんなことを取りとめなく言い募りながらまたぎゅっと唇を噛んだ拍子にボロボロと涙が落ちた。
…つったって
俺との口喧嘩じゃ泣いた事もねーくせに、親の事でなら泣くっつーんだから、ファザコンだろが。
タチバナ相手になんだが、ちょっとムッとする。