ツラの皮
基本ロクデナシで、親らしい事は何もしねぇけど、ヤツなりに娘のコトは溺愛してんだろ。
例えば、『自分の身と引き換えに』するだけであれば、タチバナは戸惑いもなく愛娘を助けたんだろう。
俺はそこに賭けてみたワケだが。
オッサンにとって娘よかオンナ優先だったわけだ。
ファザコン鈴には酷かもしれねぇが。
「……お母さん…か。」
俺の言葉を神妙な面持ちで聞いていた鈴がぽつりと呟いた。
「ま、相手がお母さんじゃショーがナイかっ!悔しいけど、お母さん、イイ女だもん!!」
スクリと立ち上がって、投げやりみたいに言うけれど、その顔は先ほどまでとは打って変わって笑顔が浮かんでいる。
………パパママ大好きっ、てオマエ。お子チャマ。
ったく。
俺のコトでもそのくらい一喜一憂してみせろよな。