ツラの皮




「これから先、どーしよ…。」


「…まァ他に案がないわけじゃねーけど。でもこれは俺的に納得いかねぇ…。」


「え!?どんな案!?」



期待一杯に顔を上げた鈴。


だから名案じゃねぇって言ってんのに…


聞くまで引きさがりそうもないので言ってみる。




「婚姻届、出しちまうか。」


「……………へ?」



余程想定外だったのか間抜けた声を洩らした鈴は、理解に至った途端、一気に赤くなり、次いでワナワナと怒りに震えだした。


………相変わらず分かり易い反応だな。



「い、いきなり結婚とか言われても困るんだけどっ…だけど、アンタ、納得いかねぇって、私と結婚すんのヤだって事!?」


「そーは言ってねぇけど、…まぁ、そー言うコトか。」


「イヤイヤ結婚してくれなくても結構よッ!!!」




本気で暴れるオンナをコッチも力付くで押し留める。



「待て!!話聞けって―――」



チクショウ…

こういうときはつくづく麻生の達者な口が羨ましい…。



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