ツラの皮
「部長が何をやっても勝ち目はアリマセン。だから諦めて下さい。」
私の宣言を無表情で聞いていた部長は徐に小さく溜息を吐いて「分かった。」と言った。
え?
分かってくれたの!?
「分かった。終わりにしてやる。その代わり最後にもう一度だけ恋人として週末のパーティーに出席しろ。」
「は?週末のパーティー?」
「ああ。親が主催の懇親会だ。そこでオマエがもう彼女じゃないとみんなの前で宣言してやればイイだろ。」
恋人と付き合うだ、別れるだまで周囲の承認が必要なの?
なんて大がかり…御曹司って大変ね。
でもそれできれいさっぱり全てが終わるなら、それでイイ。
私はパーティーへ付き合うコトを承諾した。
コレで“一抜け”♪
………なんて、
腹黒ギャンブラーを相手に私は何を呑気に喜んでいたのだろう。