ツラの皮



『はぁ…俺まだ撮影の最中だぞ。なんかあっても直ぐに駆けつけてやれねーからな。』


「分かってるって。私もちゃんと気を付けるし、アンタは安心して仕事しなさいよね。」



深い溜息と共に「全然安心じゃねぇ…」とぼやく声が聞こえた。



『仕事抜けれっか分かんネェけど…、なんかあったらとりあえず連絡しろよ?』



なんかあっちゃ困るけどもっ!と前置きし、高遠は何度も念押しして電話を切った。


高遠って意外と心配性だよね。


そんな事実に私ってば結構愛されてんじゃ~ん、なんて浮かれながら、私は会場を目指した。






場所は繁華街に聳え立つ高級ホテルの大広間。


さすが一会社の催すパーティーだけあってクオリティー高っ。


部長に出会った早々『仮にも俺の恋人をそんなショボイ格好で出すわけにはいかないな』と渋面を作られ、着替えさせられた。



ショボイって、失礼ね!

これでも持ちうる衣装の中で、一応コジャレタスーツ選んできたのに!




< 370 / 403 >

この作品をシェア

pagetop