ツラの皮
『はぁ…俺まだ撮影の最中だぞ。なんかあっても直ぐに駆けつけてやれねーからな。』
「分かってるって。私もちゃんと気を付けるし、アンタは安心して仕事しなさいよね。」
深い溜息と共に「全然安心じゃねぇ…」とぼやく声が聞こえた。
『仕事抜けれっか分かんネェけど…、なんかあったらとりあえず連絡しろよ?』
なんかあっちゃ困るけどもっ!と前置きし、高遠は何度も念押しして電話を切った。
高遠って意外と心配性だよね。
そんな事実に私ってば結構愛されてんじゃ~ん、なんて浮かれながら、私は会場を目指した。
場所は繁華街に聳え立つ高級ホテルの大広間。
さすが一会社の催すパーティーだけあってクオリティー高っ。
部長に出会った早々『仮にも俺の恋人をそんなショボイ格好で出すわけにはいかないな』と渋面を作られ、着替えさせられた。
ショボイって、失礼ね!
これでも持ちうる衣装の中で、一応コジャレタスーツ選んできたのに!