ツラの皮

ホテルは結婚披露宴も取り行われるようなトコロなので、飛び込みでメイクや髪の毛までセットしてもらった。


てか、私はこれからどんな舞踏会に出席なんですかっ、ってくらいの着飾り様。


別れるのにここまでする必要があるの?


…まぁ、きれいさっぱり別れる為なんだからここは我慢するケドも。




「本当に今日で最後ですからねっ!?」

「ああ。オマエを彼女とするのは今日で最後だ。約束しよう。」



そんな言葉を交わして、既に始まって、談笑さざめく会場に部長と並んで滑りこんだ。


部長の姿を認めて、笑顔で寄ってくる相手と挨拶をし、会話を交わす。


主なる会話は部長で、私は何食わぬ顔で隣に居るだけだけど。


そんなことを延々繰り返し、外面をキープしているのも甚だ疲れてきた。



一体、いつになったら別れの発表をしてくれんのよ…。




また新たにオッサンがやって来て、飽きるほど繰り返したお仕着せの挨拶を交わした。


―――後、だった。




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